売れない家の売却価格を下げるタイミング、いくら下げるかについて
売れない家の売却価格を下げるタイミングといくら下げるかは、売主の希望によります。売主の希望している価格や時期はいくらなのかを整理し、その上で売却計画を組み直す必要があります。本来であれば、家を売却する前にそのような計画は立てるべきですが、既に売却中の家でも遅くはありません。
改めて、自分自身の希望を整理した上で、それに即した売却計画を組み直します。それが、「いつ」「いくら」で売るかの答えになります。
売却価格の戦略
売却価格を「いつ」「いくら」下げるかは、以下の要素から決めることができます。
- 売却金額の下限
- 引渡希望時期
- 競合環境の変化
上記3点を加味した上で、売却価格は「いつ」「いくら」下げるか、検討する必要があります。家の売却は1,000万円単位の金額になるので、たとえ1%価格を下げただけでも10万円単位で売却価格は変わってきます。
そのため、「いつ」「いくら」下げるかの計画は慎重に立てましょう。売れていない物件であれば、なおさらです。
売却金額の下限
まず、売却金額の下限を決めましょう。この下限金額を決めないことには、「最悪、○○万円までなら下げて良い」という基準が決められないからです。一般的には以下のような点が、売却金額の下限を決める要素になります。
- 住宅ローンの残債額
- 自分の出したい利益
要は、自分自身の「資金計画に基づく」ということです。手持ち金がいくらあり、どのくらいの金額であれば捻出できるのか。また、利益を出したい場合はいくらの利益を出したいのかという点です。
住宅ローンの残債額
基本的には、住宅ローンは残債を完済しないと売却できません。つまり、言い換えると、売却益を充てても残債がある場合には、手持ち金額から返済額を捻出する必要があるということです。
たとえば、住宅ローン残債が3,000万円あったとします。売却の諸費用額が150万円として、手持ち金が200万円程度しかないので、売却金額で住宅ローンを完済したいとします。そうなると、3,000万円で家を売却しないといけないという計算になります。つまり、このときの売却下限金額は3,000万円ということです。
自分の出したい利益
一方、査定額が住宅ローンの残債を上回っていた場合には、どの程度の利益を出したいかを考えます。仮に、残債が3,000万円で、諸費用額が150万円だったとします。そのときに、家の査定額が3,300万円である場合には、査定額通りに売却できれば150万円の資金が手元にプラスされます。
たとえば、「150万円を手元にプラスした上で、新しいマンションの購入諸費用の130万円は売却益で補てんしたい」という希望があれば、査定額より130万円高い3,430万円で売却しなければいけません。このように、自分の出したい利益を決めて、そこから逆算して「売却金額の下限」を決めるという方法もあります。
引渡希望時期
つづいて、引渡希望時期を決めます。引渡希望時期が決まれば、「いつ」売却しなければいけないかが決まります。「いつ」売却しなければいけないかが決まれば、売却金額の下げる金額や下げるタイミングが決まってきます。
たとえば、2015年4月に3,300万円で家を売りだしたとして、2015年11月中旬までに引渡をしたいとします。売買契約〜引渡までは1〜2ヶ月かかるので、できれば2015年9月末頃までには売買契約を成立させておきたいです。つまり、9月末までの6ヶ月間の売却期間で、どのように価格を下げるべきかの計画を立てます。
売却計画
仮に、前項で話をした下限価格を「3,000万円」に設定します。一般的には3ヶ月程度で購入検討者が現れることが多いので、6ヶ月あるということは、序盤の売り出し価格は少し高めに設定しても問題ないということです。
つまり、この場合の売却計画は以下のようになります。
- 売り出し価格は3,398万円程度
- 3ヶ月間は下限を査定額である3,300万円と設定
- 3ヶ月を過ぎても売れなければ、売り出し価格を3,298万円に下げる
- このときの下限価格は3,000万円と設定
- 1ヶ月経つごとに、売り出し価格を100万円ずつ下げていく
たとえば、このような売却計画になります。この売却計画はあくまで一例なので、別の計画を立てることも可能です。ただ、いずれにしろ、11月中旬までに引渡をするという、「引渡期限」をベースに、「いつ」「いくらで」売却するかは考えなくていけません。
競合環境の変化
また、売却価格の下限と引渡希望時期のほかには、競合環境の変化も加味する必要があります。たとえば、競合物件が増えたり、競合物件が価格を下げたりしたときには、自分の家の価格も下げる必要があります。一方、競合物件が減ったり、価格の高い競合物件が現れたりしたときは、自分の家の価格を下げる必要はありません。
つまり、まずは「売却金額の下限」を決めます。そのあとに、「引渡希望時期」を決めます。この2点を加味した上で、前項で話をしたような、売却計画を立てます。しかし、この競合環境によっては、この売却計画を修正する必要があるということです。
価格を下げるとき
競合物件が増えるということは、供給が多くなるということです。そうなると、自ずと「需要」が減ってくるので、物件価格を下げない限り、集客は減ってきてしまいます。また、競合物件が価格を下げるということは、その物件と比較検討されます。そのため、計画していた時期より「早く」売却金額を下げる必要があるかもしれません。
価格を維持できるとき
一方、売却計画通りに進められる可能性があるときは、競合物件が減ったときや、価格の高い競合物件が現れたときです。これは、前項の「価格を下げるとき」とは逆の話になります。必然的に需要が増えるので、ある程度価格が高くても集客できます。また、価格の高い競合物件と比較すれば、自分の物件は「安く」見えるので売りやすいです。
売却価格を下げるときの注意点
売却価格を下げるときには「売れ残り物件に見られないようにする」という注意点があります。売れ残り物件に見られないようにするためには、広告戦略が重要です。
広告を出すタイミングにメリハリを付ける
広告を出すタイミングは、大量に投下するタイミングと、広告を抑えるタイミングのメリハリが大切です。最初の売り出しはじめは、広告に力を入れるべきです。最初の告知を広く行うことで、家を売りだしていることを認知させます。
そして、最初の1ヶ月が経った頃には、広告のボリュームを少しずつ抑えていきます。そのような広告戦略を取れば、物件情報が露出しすぎないものの、購入検討者への告知はできています。そこで、売却価格を下げたタイミングで告知を再開すれば、また「目新しい物件」として認知されます。
目新しい物件として認知されることができれば、売り出し当初のような集客も望めます。このように、広告戦略によっては、売れない物件にも売却価格を下げたタイミングで、大量の集客を呼び込める可能性もあります。既に広告を大量投下している場合には、少し時期を置いてから広告を再開した方が効果的です。
まとめ
このように、売却金額を「いつ」「いくら」下げるかは以下のような手順になります。
- 売却金額の下限を決める
- 引渡希望時期を決める
- 1,2を加味して売却計画を立てる
- 競合環境によって3の売却計画の修正をする
売れない物件は、まず1の売却金額の下限と2の引渡希望時期を整理しましょう。特に2の引渡希望時期は大切です。
もし、既に余裕がないのであれば、周辺で「一番安い金額」で売り出すべきです。一方、まだ時間があるならば、少しでも高く売るための計画を立てましょう。